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食トレンド大賞2024

食トレンド大賞2024

クックパッドが発表!
2024年に最も注目された料理・食材は?

2024大賞

2024 大賞「こねないパン」
物価高・米不足

こねないパン

調理方法・レシピが進化
手軽にできる「こねない」「無発酵」等の
手作りパンがトレンドに

今年は年明けより「手作りパン」の人気が上昇しています。中でも従来のレシピより手軽に作れる、「こねないパン」は、検索頻度*が昨対比429.9%と大幅に伸びました。
「こねないパン」は、耐熱容器の中で材料を混ぜて作る手法のパンで、従来のパン作りに必要とされてきた「こねる」作業を省略したものです。発酵や温度管理が工夫され、短時間でできるレシピもあり、早いものだと混ぜるところから焼き上がりまで、30~40分程度でできあがります。力が必要な生地をこねる作業が軽減されているので、力の弱い高齢者や子どもが気軽に楽しめるレシピが多くあり、年代を問わず作る人が増えています。
キーワード「こねないパン」は2015年ごろから人気となり、コロナ以降はいったん落ち着いていました。その後、2022年以降の小麦粉の価格上昇に伴い専門店のパンの価格も上がる中、自宅で手作りパンにチャレンジする人が増えたところで、今年8月中旬からの「コメ不足」が重なり、再び人気となりました。

クックパッドには460件以上の「こねないパン」レシピが投稿されています(2024年11月現在)。「ちぎりパン」「バターロール」「塩パン」といったシンプルなものから、「ウインナーパン」「カレーパン」などの総菜パンまで幅広いレシピがあります。
周辺キーワードの検索頻度も、「パン生地」137.4%、「発酵なし」166.5%、「米粉パン」155.0%、「ちぎりパン」103.2%、「ドライイースト」120.2%など、いずれも昨対比が伸長しています。

2

2位「パリおにぎり」
2024年のイベント飯

パリおにぎり

2024年を象徴する
イベント飯といえばコレ!

クックパッド「食トレンド予測2024」に選出しました。発表直後より注目を集め、パリでのおにぎりブームとともに各所で紹介され、大人気となりました。スーパーマーケットや専門店でも「パリ風おにぎり」がイベントの時期に観戦めしとして発売されました。日本にはない発想の華やかな見た目と、チーズやドライトマト、オリーブなど意外な食材との組み合わせのおいしさに、おにぎりの更なる可能性を見出した方も多かったようです。

3

3位「カニカマ・魚肉ソーセージ」
高タンパク食品

カニカマ・魚肉ソーセージ

世界的な魚食ブーム、
豚肉高騰で「練り物の年」に

価格・供給が安定している「練り物」は、物価高騰の折の頼れる味方。肉・魚より長く保存ができ、冷蔵庫に常備できることも人気の理由です。各メーカーの企業努力により人気商品が多数販売されている「カニカマ」は、ここ10年で検索頻度が1.6倍に成長、2024年も昨対比126.9%と伸びています。アジアや欧米、中東諸国でも人気、かなり認知度が高い食材で「surimi」の名称で親しまれています。「魚肉ソーセージ」は常温保存が可能でローリングストック用食材としての認知が高まり、地震・台風が重なった8〜9月の検索頻度は昨対比163%となりました。

4

4位「グリークヨーグルト・アサイー」
スイーツ

グリークヨーグルト・
アサイー

韓国専門店から家庭へ
「腸活」ブームも手作りを後押し

2月ごろより検索頻度が上がり始めた「グリークヨーグルト」。韓国での流行がSNSで広く拡散され、日本にも専門店が出店。報道等で広く紹介されたことから、家庭でもヨーグルトを水切りして「グリークヨーグルト」を作る人が増えました。生ハムやアボカドをトッピングした「食事系」も人気となり、クックパッドでの検索頻度は昨年の約41倍になりました。水切り時に出る水分「ホエー」も昨対比152.8%と伸びており、カレーやスープなどの料理に活用されているようです。
アサイーは2月にカフェチェーン店の商品がSNSでバズったことから約10年ぶりに人気となり検索頻度が急増、昨対比307.9%となりました。ピューレやパウダー、ジュースなどの「アサイー」をグリークヨーグルトボウルと組み合わせた「アサイーボウル」、バナナや牛乳・豆乳などと組み合わせた「スムージー」などが投稿され、人気となりました。

5

4位「クラフト紅茶」
酷暑

クラフト紅茶

酷暑の夏で
さっぱり系の風味が大人気に

クックパッド「食トレンド予測2024」に選出した「クラフト紅茶」。同時選出 の「英国風スコーン」人気もあり、タピオカブーム、アフタヌーンティーブームを経て、「紅茶」 の人気が高まりました。産地やブレンドにこだわった「クラフト紅茶」は紅茶専門店が各地にオープンするなど、盛り上がりを見せています。2024年は酷暑の夏でした。和紅茶やフルーツ紅茶など、特徴のある冷たい紅茶のペットボトル飲料が各メーカーから次々と発売され、話題となりました。

調理器具

調理器具「せいろ」
ヘルシー志向

せいろ

手軽に使え、
ヘルシーな料理が短時間で簡単にできる

「町中華」「ガチ中華」と続く中華料理ブームの中、手軽に使えて、ヘルシーな料理が短時間で簡単にできる「せいろ」が人気となっています。ここ数年、「せいろ」料理レシピ本の出版が相次ぎました。クックパッドでも「せいろ」の検索頻度は昨対比214.9%、「せいろ蒸し」は539.3%、「蒸し料理」も135.9%と大きく伸びました。肉・魚介類と野菜が一度に調理可能、栄養バランスも見栄えも良い料理を短時間で作ることができ、そのまま食卓にも出せるので洗い物が減らせることが人気の理由です。この秋には生活用品メーカー数社から安価な商品が新たに発売されるなど、まだまだこの流れは続きそうです。

トレンドワード

トレンドワード「ザクザク」
食感

ザクザク

「甘いお菓子」に使われるオノマトペが、
しょっぱいものに転用されブームに

クッキーやスコーンなどの中に入っている大きめのナッツ、チョコレートなど、甘いものの表現に使われていたキーワード「ザクザク」は、2015年をピークに検索頻度を落としていました。しかし、2016年ごろから「からあげ」「食べるラー油」など、従来の甘いものではなく、しょっぱい用途の「ザクザク」レシピ検索が増え始めました。用途が変わり、新鮮味が感じられるようになったためか、商品名に「ザクザク」が入った食品が2023年次々と発売されました。食感だけでなく、ASMR動画などの影響で、食べる時の音も楽しむ流行が生まれました。2024年のキーワード「ザクザク」の検索頻度は昨対比118.6%、9年ぶりに増加に転じました。

撮影:平瀬夏彦

  • *検索頻度(SI):Search Indexの略で、1000回あたりの検索頻度のこと。
  • *2024年の値は期中のため未確定値です。

2024年の総評

2024年トレンドは
「進化した食材・調理法の導入」と
「健康志向」

2024年伸長したキーワードに共通するポイントは2つあります。
1点目は、「食材・調理法の進化」。生産者や食品メーカー、レシピ作者さんの努力により、料理はどんどん進化しています。SNS等により、共有・拡散されるスピードも早くなっています。情報を素早くキャッチし、良いものはすぐ取り入れるスタンスが、昨今のヒット検索キーワードにも現れています。
2点目は「健康志向」。コロナが明けて出社や外出が増え、忙しい毎日を健康に乗り切るためにバランスよく栄養を摂りたい、検索キーワードも栄養バランスやきちんと食べることを意識していると感じられるものが多くなっています。
「進化した食材・調理法の導入」と「健康志向」この2つが今の家庭料理のトレンドと言えます。

大賞に選ばれた「こねないパン」は年明けあたりから検索頻度が伸び始めました。市販のパンの値上げが相次ぐ中、調理法が進化し、炊飯より早く焼き上げられる手作りパンが大人気です。「パリおにぎり」は見た目の美しさだけでなく、斬新な具材のおいしさが話題となりました。
上半期に大ヒットした「グリークヨーグルトボウル」はフルーツを加えておしゃれかつヘルシー。「カニカマ」は高タンパク低脂質、包丁も不要で様々な料理に使え、ここ10年間で大幅に伸びました。「せいろ」料理はごちそう感があるのに調理は手軽で野菜たっぷり。

2024年の食に関する一番大きなできごとは、8月中旬頃からの「コメ不足」、その後に続いた「コメの高騰」でした。
米だけではなく、豚肉・野菜・調味料など、さまざまな食品の値上げも話題となりました。値上げにより敬遠された食材もあります。しかし一方で、価格に関わらず検索頻度が上昇している食材もあります。キーワード「魚」はコロナ以降初めて上昇に転じました。切り身や下処理済みのものが買いやすくなり、食卓に上る機会が増えているようです。秋以降は「だし」も大幅に上がっています。中・高価格帯の「だしパック」や、「だし」を味わうコンセプトの外食店の普及で興味を持つ人が増え、手軽な「だし」のレシピの検索が増えています。「だし」とともに「煮物」も急上昇しています。

手間がかかると敬遠されていた料理が、進化した食材や調理法によって、広がる流れがきています。
コロナ禍・コメ不足を経験し、私たちの食の価値観は転換点を迎えていると感じた一年でした。

クックパッド株式会社 広報兼食リサーチャー 小堀彰子
クックパッド株式会社 
広報兼食リサーチャー
小堀彰子

男子3兄弟の母。12年間の専業主婦生活を経て再就職。2022年PRアワードグランプリゴールド受賞。「たべみる」データと市場を照らし合わせ分析、流行予測を発信中。弁当歴25年、趣味は道の駅とスーパー巡り。

選定基準

食トレンド大賞は、日本最大のレシピサービス「クックパッド」の検索・アクセスデータ*1 や、ニュースメディア「クックパッドニュース」*2、SNS、各種メディアで話題となったトピックス、有識者が注目する動向などを元に、クックパッドが独自に選出しています。

  • *1:クックパッド 食の検索データサービス「たべみる」https://ad.cookpad.jp/tabemiru
    日本最大の料理レシピサービス「クックパッド」の検索・アクセスログデータを活用した、明日の食が見えるビッグデータサービスです。食材・地域・季節・食用シーン(誕生日や運動会など)といったさまざまな切り口で分析を行うことができます。
  • *2:ニュースメディア「クックパッドニュース」https://news.cookpad.com/
    「料理って、おもしろい。」をコンセプトにした月間PV約4000万、SNSの累計フォロワー数約900万人の料理ニュースメディアです。2014年にスタートし、レシピ紹介記事をはじめ、食の専門家による寄稿コラムやインタビュー記事、SNSやエンタメ業界の料理トピックなど、毎日の料理を楽しみにする情報を発信しています。自社サイトのほかLINE NEWSやYahoo!ニュース、SmartNewsをはじめとしたさまざまな外部メディアやプラットフォームにも記事を配信しています。